先日、新潟に出かけた際に、田んぼで無人の小型ヘリコプターを
飛ばしているのを見かけました。
そのときは何の気もなしにただ眺めていましたが、その数日後
テレビの報道番組で農薬の空中散布に付いてのドキュメントが
ありました。
この農薬には、有機リンが含まれており、様々な健康被害が出ているとのことでした。
有機リンの毒性には、神経毒性、免疫毒性などがあり、アレルギー症状の悪化、視力低下、そして
化学物質過敏症など様々な症状を引き起こすと考えられています。
とりわけ化学物質過敏症の症状は重篤で、日常生活に大きな支障を来しています。
めまいや頭痛、記憶障害、不整脈などの心電図の変化などがあるとのことです。
このような症状は、有機リンに限らず、ホルムアルデヒド、トルエン、スチレン、
ジクロロベンゼンなど、多くの化学物質で起こると言われています。
同じ地域に暮らす人々でも、有機リンの空中散布でこのような症状の出る人もいれば、
全く症状の出ない人もいます。むしろ症状の出る人のほうが極めて少なく、個人の感受性の
違いが大きく現れた結果だと思われます。
群馬県では、自治体として全国ではじめて有機リンの空中散布を自粛するように、農業団体や
関係団体に申し入れをしたとのことです。
たとえ何万人に一人でも健康被害が出るようであれば、そのような薬剤の使用はやめるべきだと
いうのが県としてのスタンスであるのに対して、関係団体からは「厚生労働省の厳しい試験を
クリアしているのに、なぜ有機リンの空中散布だけが規制されるのか」という反応のようです。
以前に、なぜ水俣病や薬害エイズが起こり、なぜ多くの人たちがその犠牲にならなければ
いけなかったのかという歴史に学んでいないと、群馬県の職員の方が落胆して話していたのが
とても印象に残りました。